
一般企業で働いてみたい看護師にとって興味があるのが、医療機器メーカーでの仕事内容です。
なかなか身の回りに医療機器メーカーで働く看護師もいないので、求人を見て気になってはいても、自分に向いているのか不安で一歩踏み出せない人も多いですよね。
この記事では以下の3点について詳しく説明しています。
- 医療機器メーカーで働く看護師はクリニカルスペシャリストとして働くことが多い。
- クリニカルスペシャリストの仕事内容は、高度の医療知識を活かして営業のサポートであって、営業職ではない。
- クリニカルスペシャリストに向いている人はタフなメンタルと論理的な思考力を持った人
医療機器メーカーで働く看護師の仕事内容は?

医療機器メーカーで働く看護師は、主に3つの職種に就くことが多いです。
- クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)
- 営業職
- マーケティング、商品開発
それぞれの業種の仕事内容については、以下の記事をご覧ください。

医療機器メーカーは、特に看護師の資格がなくても就職をすることができます。
しかしクリニカルスペシャリストに関しては、看護師など医療資格の取得を必須条件としている企業が多く見られます。
そのため、医療機器メーカーでは、クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)として勤務する看護師が多いです。
この記事ではクリニカルスペシャリスト(フィールドナース)の仕事内容を掘り下げて紹介します。
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)の仕事内容は?

クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)の仕事内容を説明します。
営業の同行サポート
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)の仕事内容には、営業スタッフに同行し、より専門的で高度な医学的な観点での自社製品の営業活動を行う業務があります。
しかしクリニカルスペシャリストはあくまでの営業スタッフの補助を行う立場で、営業マンではありません。
営業活動の実務を行うことはありませんし、営業成績やノルマもありません。
しかし最終目標が自社製品の販売へつなげる点であることは、営業スタッフと変わりません。
クリニカルスペシャリストも営業的な視点は欠かせません。
自社製品のプレゼンテーション
自社製品の紹介をするプレゼンテーションも医療機器メーカーで働く看護師であるクリニカルスペシャリストの仕事内容です。
自社製品を使いたくなるようなプレゼンテーションや、他社製品にはない自社の独自の強みや特徴を紹介します。
パソコンのプレゼンテーションソフト、または紙資料に図や表にまとめてプレゼンテーションをすることが多くあります。
プレゼンテーションのあと、もう少し詳しく製品について知りたいと依頼があれば追加でのプレゼンテーション資料を作成をすることもあります。
相手の顕在的・潜在的なニーズを把握して、販売につながるプレゼンテーションを行うスキルを求められます。
自社製品の操作トレーニング
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)は自社メーカーの導入が決まった病院に出向き、製品の操作トレーニングを行います。
自社の製品を正確に取り扱う操作知識を持つことが大切です。
さらに加えて現場の看護師時代の経験に基づく、業務が楽になるような操作方法や、臨床現場で「よくある」トラブルの解決方法をレクチャーすることも期待されています。
ここからは少し私の体験談となります。
私が内視鏡室に勤務していた際、実際にクリニカルスペシャリストにもお会いして、内視鏡介助のレクチャーを受けていました。
「従来品はAからBの2ステップ操作が必要でしたが、新製品は1回の操作で完了します。」
「この操作は複雑なように感じているかもしれませんが、この機能を利用すると簡単にできるようになりますよ。」
このように現場で働く私たちにとっては目からうろこの操作方法を説明してくださり、とてもありがたかったです。
自社の製品の操作方法を隅から隅まで熟知して、なおかつ現場で働く医師や看護師のつまづきやすい点を理解しているからこそのレクチャーなのだと感じました。
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)のメリット

クリニカルスぺシャリスト(フィールドナース)のメリットは以下の3点です。
クリニカルスペシャリストは看護師の資格を活かしながら、夜勤なし、土日休みで働ける職場です。
医療機器メーカーは外資系や大手企業の求人が多く、看護師よりも基本級が高めに設定されている企業が多く見られる点もメリットです。
勤務姿勢や業務の正確さなどが評価されれば、年収はさらに上がります。
臨床の看護師よりも、社内評価によって給与がアップしやすい職業でもあります。
看護師と比較すると自分の仕事の努力が給与や昇進という形で反映されやすい職業ですので、自分のやる気次第でどんどん看護師よりも大幅に年収をアップさせることも可能です。
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)のデメリット

クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)のデメリットは以下の3点が挙げられます。
クリニカルスペシャリストは病院に訪問することが多い職業です。
基本的に大幅な残業は発生しにくい職業ですが、医師や訪問先の病院の都合や立ち会う手術や検査の時間によっては残業も発生します。
また医療機器メーカーでは数多くの病院と取引をしており、県外まで出張に行くこともあります。
出張や残業が必ずしも毎日あるわけではありませんが、小さい子どもがいるママ看護師の場合には、出張や残業量がどの程度となるのか、転職前に確認しておきましょう。
クリニカルスペシャリストは看護師資格がなくても就業可能な職業です。
他の医療従事者でも転職できますし、医療系資格を求めない企業もあります。
病院看護師と比べる求人数は少なく、応募者も多いため、倍率が高くなる傾向があります。
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)に向いている人の特徴

看護師が医療機器メーカーで働く際には、臨床の看護師とは違うスキルを求められます。
ここからはクリニカルスペシャリストに向いている人の特徴を紹介します。
相手を尊重したコミュニケーション能力を持つ人
医療機器メーカーではチームで営業を行います。
チーム内には医療従事者ではないスタッフも数多くいます。
看護師が医療機器メーカーで働くには、さまざまな背景、価値観を持つ人を尊重したコミュニケーション能力が必要です。
看護師は医療の専門職だけに、医療知識が豊富です。
もちろん医療機器メーカーに在籍するスタッフも幅広い医療知識を持っています。
しかし看護師には及ばないケースもあるでしょう。
その際に「こんなことも知らないの」と思うようでは、チーム内で円滑にコミュニケーションが図れないため、医療機器メーカーで働くのは難しいでしょう。
クリニカルスペシャリストは営業のサポートを行う職です。
「なぜ自分が医療資格もない人のサポートをしないといけないの」感じる人も、医療機器メーカーへの転職はもう一度考え直してみた方が良いでしょう。
循環器・ICU・手術室・内視鏡室の勤務経験者
どの病棟勤務であっても医療機器メーカーへの転職は可能ですが、医療機器を多く取り扱う部署での勤務経験があると業務に慣れるのが早い傾向があります。
病院での看護師時代に培ったスキルを用いてプレゼンテーションができるので、仕事がスムーズに進みやすいでしょう。
循環器やICU、手術室や内視鏡室の勤務経験がない看護師でも、医療機械の取り扱いに苦手意識がなく、機械に興味を持っていることが大切です。
もちろん、転職後の自身の努力で足りない知識をカバーしていくことはできますよ。
強いメンタルを持つ人
クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)は営業を断られることもあります。
資料すら手に取ってもらえないことや、渾身のプレゼンを行っても、販売にはつながらないこともよくあることです。
クリニカルスぺシャリストには、たとえ販売がうまくいかなくても「次はがんばろう!」と思える、メンタル面の強さが必要です。
製品が必要ではないときには、断られることもあります。
反省は大切ですが、むやみと落ち込んでばかりいることは望ましくありません。
反省はしつつも、失敗を次に生かしていける前向きな人が向いています。
ロジカルシンキングができる人
ロジカルシンキングとは、物事を客観的に論理的に捉える力を言います。
クリニカルスペシャリストには、仕事で失敗してしまったとき、「どこが悪かったのか」「次はどこを修正したらよいのか」と、客観的に考える力必要です。
逆に営業に成功した際も、「どこが良くて販売につながったのか」と論理的に見直すことも大切です。
失敗した際に「自分に実力がなかったから」「相手が悪かったから」と自分や相手を責めるだけの人はクリニカルスペシャリストには向いていません。
- 事実を冷静に分析し、
- 問題点を抽出して、
- 次に生かすことは何か
この3点を理論立てて考えられる思考力が必要です。
医療機器メーカーで看護師として働く方法
医療機器メーカーのクリニカルスペシャリスト(フィールドナース)の採用枠は少ないうえに、多くの募集が集まります。
医療機器メーカーへの転職は狭き門であると言わざるを得ません。
日頃の看護の業務のうえでも、論理的な思考を見につけ、問題点を解決できる方法を考える訓練をしておくと良いでしょう。
医療機器メーカーに限らず、一般職の面接と医療職ではエントリーシートの書き方や面接の対応が異なりますので、対策が必要です。
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