看護師から治験コーディネーターへの転職を検討していても、臨床の看護師とはまったく違う分野での仕事となることから、一歩踏み出せないでいる人も多いことでしょう。
治験コーディネーターにはノルマがあるとか、基本は営業の仕事だと見聞きして、果たして自分にできるだろうかと悩む人もいますよね。
この記事では治験コーディネーターの仕事の辛い一面を取り上げています。
しかし、すべての人にとって治験コーディネーターが辛い仕事ではなく、向いている人にとってはまったく辛いと感じない事柄のことも多いです。
この記事を読んで、自分に治験コーディネーターが向いているのかそうでないのか検討してみてください。
企業の選び方も紹介していますので、応募先の検討の際の参考にどうぞ。
看護師から治験コーディネーターへの転職で辛いこと
看護師から治験コーディネーターに転職した際に、辛いと感じる点を集めてみました。
患者の気持ちよりも利益を優先させなければいけない
治験コーディネーターの第一の目的は、治験を成功させて所属先の企業に利益をもたらすことです。
患者さんの治療や療養がスムーズに進むことが第一目的であった臨床の看護師とは、目的が大きく異なります。
治験の場面においては患者さんのリスクが大きいことが分かっていても、治験の成功のために患者さんに協力をしてもらわないといけない場面は多々あります。
もしかしたら治験に参加することで患者さんの症状を悪化させるかもしれないと分かっていても、それでも治験の成功のためには患者さんの理解を得て、治験を進めていかなければいけないのです。
この点は臨床の看護師とは大きく異なります。
患者さんが元気になることを目指して仕事をしてきた看護師にとっては、非常に悩みやすく辛いと感じるポイントです。
同じ医療職なのに立場が下となったように感じられる
病棟看護師時代には「対等」であった医師や各検査技師、同業であるはずの看護師でさえも、自分が治験コーディネーターとなると立場が変わります。
治験コーディネーターとなると、治験先のスタッフは「顧客」となります。
どちらかといえば、自分の立場が「下」となってしまいます。
基本的に病院は病気の治療が本業。
治験に関しては協力している副業のようなものなのです。
中には協力してやっている、と不遜な態度をとるスタッフもいます。
同業であるはずの看護師にも頭を下げてお願いをしないといけない場面もあります。
自分のこれまでのキャリアに自信がある看護師や自尊心の強い看護師やには辛いと感じることも多くあります。
症例数や手順をめぐって治験先と製薬会社の間での板挟みとなる
治験の協力先の病院によっては、お願いした正確な手順で進めてもらえないこともしばしばあります。
治験患者の紹介をお願いしても、協力してくれないこともしばしばあります。
すべての治験協力先、すべてのスタッフが友好的で協力的とも限りません。
治験の協力先が思うように治験を進めてくれない…。
しかし所属企業や製薬会社からは「もっと症例を取って、どんどん治験を進めるように」などと要求されることもあり、板挟みのストレス抱えてしまうこともあります。
治験がスムーズに進むように、治験協力先のスタッフを立てながら、製薬会社の要求を通して、治験が円滑に進むように人的環境を整えていくことも治験コーディネーターの仕事。
治験コーディネーターは対人関係のストレスが大きい仕事です。
それぞれ目的や思惑がバラバラな異業種をひとつにつなげて、対人関係を円滑にまわすコミュニケーション能力が求められます。
しかしすべての関係機関をスムーズにつなぎ、治験を成功に導いた瞬間は治験コーディネーターのやりがいのひとつでもあります。
治験コーディネーターは自分が主役ではなく、異業種をつなぎ合わせる橋渡しの役を多く求められます。
会議でみんなの意見をうまく集約できる人や、大人数を集めたパーティーを裏方で支えるのが得意な人は向いている傾向があります。
症例数を増やすプレッシャー
治験は症例数(=治験に協力してくれる患者)が大切です。
症例数が多ければ多いほど、所属する企業の利益となります。
また製薬会社側としても治験薬が新薬として承認されるためには数多くの症例が必要です。
所属先の上司からも製薬会社からも「症例数を増やすように」とプレッシャーをかけられることがストレスとなる人もいます。
花粉症や生活習慣病のような患者数が多い治験の場合には、症例を増やすことは比較的容易です。
しかし難病の場合にはそもそもの母数が少ないため患者探しは難航します。
がんのように命に大きく関わる病気の治験の際には治験協力を拒否する患者も多くいます。
治験の成功のカギは患者の選定にかかっているので、症例数を増やすことに大きなストレスを感じる人も多いです。
患者の選定には医師の協力は欠かせません。
医師の協力を得るためには、日頃から医師と円満な関係を築く必要があります。
臨床で看護師として働いて感じるように、医師や患者の性格にもさまざまあります。
相手の性格をとらえながら、上手にお願いできる人は辛いとは感じないでしょう。
相手の立場を考えずに一方的なお願いしかできない人には辛い場面です。
治験コーディネーターは対人関係のストレス耐性やコミュニケーションスキルを磨いておく必要があります。
受け持ち施設が遠いと子育てとの両立が困難な場合も
治験コーディネーターは治験協力先に出向くことも多いです。
治験の協力先は必ずしも近くにあるとは限りません。
場合によっては片道1時間かかるような場所や県外が治験先となる場合もあります。
そのため仕事そのものは定時に終わったとしても、家までが遠くてお迎え時間や子どもの帰宅時間に間に合わないことも。
所属する企業によっては泊まりを伴う出張がある場合もあります。
家族の協力が得られるように環境を整えておくことも大切ですし、就職先を選ぶことも大切です。
残業が多く休日に電話がかかってくることも
所属する企業にもよりますが、残業が多かったり、休日にも患者さんからの問い合わせの電話があることもあります。
体調の変化による相談が一番数が多く、他には内服を忘れてしまった場合の対応や他の薬との飲み合わせに関する問い合わせなどの電話が寄せられます。
常に会社の携帯を手放すことができず、休みの日でもゆっくり休めないと話す治験コーディネーターもいます。
もちろんすべての治験コーディネーターが残業や休日の電話対応があるわけではありません。
治験先の病院や治験領域による差も大きいです。
私生活も大事にしたい、休みの日は子育てを優先させたいという希望がある場合には残業が少ない転職先を選びましょう。
デスクワークで日程調整などこまかい作業が多い
治験コーディネーターは文章を読む力と作成する力が大切です。
治験の報告書の作成はもちろん、治験中の患者のデータをまとめたり、病院と打ち合わせや患者さんの診察同行など日程調整も多い仕事です。
病棟の看護師とは違いデスクワーク、パソコン中心となりますので、動くのが好きな人は辛いと感じるようです。
細かい作業や手順通りにきっちりと物事を進めていくことも大切なので、おおざっぱで大らかな人は辛いと感じやすい職種となります。
パソコンスキルとビジネスマナーは必須
治験コーディネーターになると文書の作成やデータ管理など、パソコンを使用する機会は増えます。
また関係各所とメールや電話で連絡を取り合うことが多く、ビジネスマナーも必要です。
治験コーディネーターにとっては治験協力先の病院は顧客です。
失礼があってはいけません。
臨床の看護師では身につきにくいスキルですので、最初は辛いと感じ、苦労するかもしれません。
しかし何度も場数を踏むことで自然と身についてきますので、さほど心配はいらないでしょう。
残業や休日出勤の有無にも関わる転職先の選び方
看護師から治験コーディネーターへ転職した際に辛いと感じる点を紹介してきました。
しかしこれらの辛いと感じるポイントは、所属先の企業を選ぶことによって解消、軽減されることも多いです。
応募企業によって残業や休日出勤の有無にも関わります。
ここからは応募先の選び方を紹介します。
企業の得意な治験領域を確認しておく
一口に治験とは言っても、治験対象はさまざまあります。
花粉症や糖尿病、高血圧からがんや難病、ワクチンまでさまざまです。
どの領域が強い企業に所属するのかによって、症例数の確保や休日の電話対応の数が変わってきます。
患者が多く、命に大きく関わることのない比較的元気な人が多い病気の治験の場合には、症例数を集めるのも苦労せず、休日の電話対応は少なめです。
神経難病のように患者そのものが少ない場合には症例数の確保も大変で、体調の変動も大きいため休日の電話対応も増えちです。
土日の電話対応を行っていない企業もありますので、応募先を選ぶ際にはそれぞれの企業の特徴、特色を考えて選びましょう。
未経験でも働きやすいOJT制度が整っているか
看護師から治験コーディネーターへ転職する際、多くの看護師が分野未経験での転職となります。
応募先を選ぶ際には、OJT制度があるかどうかを確認しておきましょう。
OJTとは、プリセプター制度と同様のものと捉えておくと間違いありません。
一定の期間、先輩について業務を学ぶ新人の支援制度です。
中小企業だとOJTがない場合もありますので注意が必要です。
OJT制度がある企業を選ぶと、未経験でもスムーズに仕事を始めることができます。
治験協力先がクリニックが多いのか大病院が多いのか
企業ごとに治験の協力先がクリニックが多いのか、大病院が多いのかさまざまです。
クリニックは土曜診療は平日の診療受付時間が18時までという場所も多く、治験コーディネーターも土曜出勤や18時以降の残業が発生することもあります。
大病院が多い場合には土日は休みで、18時までには仕事も終えられることが多いです。
残業や休日出勤の有無だけで見ると大病院のほうが良さそうにも思いますが、大病院が治験先の場合、症例確保が難しい難病治験も多く扱うため、症例数確保が難しい場合もあります。
いろんな企業を見て、自分にあった応募先を選ぶことを大切にしましょう。
大企業か中小企業か
治験コーディネーターが所属する企業の中でも大企業や中小企業があります。
大企業は人手も多く、新人の指導体制が整っていることが多いです。
さまざまな案件を抱えていることが多く、治験コーディネーターとしてキャリアアップを果たすことができます。
しかし治験協力先が遠方にあったり、企業によっては地方支社への転勤もあるので、転勤できない場合には事前に確認をしましょう。
中小企業は人数も少なく、OJT制度も整っていないこともあります。
しかし業績を上げればスピード出世の可能性も大いにあります。
即戦力を求めていることが多いため、看護師の経験があると未経験でも採用されやすい傾向があります。
治験コーディネーターに転職の際は自分に合う企業を探そう
治験コーディネーターの仕事の辛いという側面から、治験コーディネーターの仕事や向いている人について紹介してきました。
どんな職業にも言えることですが、人によって向き、不向きはあります。
誰かが辛い仕事だと言うから、治験コーディネーターへの転職をあきらめる必要はありません。
誰かには向いていなくても、あなたには向いている可能性があるのです。
治験コーディネーターで辛いと言われている部分は、逆に言えば治験コーディネーターだからこそのやりがいでもあるのです。
リジキャリでは看護師から治験コーディネーターへの転職も支援しています。
治験コーディネーター未経験だった看護師でも、リジキャリの支援で転職が成功したケースもあります。
子育て中の方や今後出産を考えている方には、子育てしやすいご希望の条件に合った企業を紹介します。
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同じ医療従事者だからこそ、一般企業への転職の際の弱みとなる部分がわかります。
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治験コーディネーターへの転職を検討している方は、まずはリジキャリにご相談ください。