
転職を考えている看護師の中には、訪問看護の仕事が気になっているという人もいるのではないでしょうか。
しかし、訪問看護未経験の場合、実際の仕事内容や転職先の選び方などがわからないという人もいるかもしれません。
- 訪問看護の仕事内容
- 訪問看護に転職するメリットとデメリット
- 訪問看護に転職するときの職場の選び方
訪問看護に興味のある人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
訪問看護の仕事内容は?
訪問看護は、利用者の自宅を訪問して健康観察や医療処置、日常生活の介助などを行います。
主な業務は次の通りです。
- 健康状態の確認
- 点滴やカテーテルなどの管理
- 服薬管理
- 痰の吸引
- 褥瘡の処置 など
また、自宅での過ごし方や家族の介護の状況なども確認し、評価や指導も行います。
利用者とその家族のメンタルサポートも、訪問看護師の重要な役割のひとつと言えるでしょう。

訪問看護に転職するメリット

訪問看護での働き方には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
まず、メリットは下記の通りです。
- 柔軟な働き方ができる
- 在宅看護について学べる
- 一人の利用者とじっくり関わることができる
柔軟な働き方ができる
訪問看護は、基本的に日勤のみで夜勤はありません。
また、訪問看護ステーションは、基本的に月曜日から金曜日、または月曜日から土曜日を営業日としていることが多いです。
夜間や休日もオンコール対応をしているところがほとんどですが、当番制で頻繁に呼び出しがあるわけではないので、それほど大きな負担にはならないでしょう。
病棟勤務と比較すると、規則正しい生活を送ることができるのは大きなメリットと言えます。
在宅看護について学べる
高齢化社会によって、地域医療や在宅医療の需要は高まっています。
今後も高齢者は増えていくと考えられており、訪問看護師としてのキャリアを積んでいくことは自分自身の強みになっていくでしょう。
もしいずれ病院に戻ることがあっても、在宅看護の経験は退院支援などでも役立ちます。
一人の利用者とじっくり関わることができる
訪問看護は、利用者やその家族とじっくり関われることが特徴です。
病棟とは違い、訪問している間は一人の利用者のために時間を使うことができます。
この点は訪問看護の大きな魅力のひとつであり、やりがいを感じるポイントと言えるでしょう。
訪問看護に転職するデメリット

次に、訪問看護に転職するデメリットを見ていきましょう。
- 自分一人で対応しなければならない
- 最新の医療技術に触れる機会が少ない
- 家族とのコミュニケーションが難しいことも
自分一人で対応しなければならない
利用者の自宅を訪問するときは、基本的に自分一人です。
そのため、現場では自分で判断して臨機応変に対応していく必要があります。
病院のようにすぐ近くに他の看護師がいるわけではないので、緊急時にはプレッシャーを感じることもあるでしょう。
最新の医療技術に触れる機会が少ない
訪問看護では、高度な医療処置を行う機会は多くありません。
中には医療的な依存度の高い利用者もいますが、訪問看護では療養上の世話の比重が高くなる場合が多く、手技的な面で鈍ってしまうと感じる可能性があるでしょう。
家族とのコミュニケーションが難しいことも
病院では処置中などは家族に席を外してもらいますが、訪問看護は家族と同じ空間でケアや処置を行います。
そのため、家族の目や会話などをプレッシャーに感じてしまうことも。
一人の利用者とじっくり関わることがメリットである一方、コミュニケーション面での難しさもあるでしょう。
訪問看護に転職するときの職場の選び方

初めて訪問看護に転職するという場合には、職場の選び方に悩むこともあるのではないでしょうか。
訪問看護の職場選びのポイントは次の通りです。
- 経営母体
- 休日
- オンコールの体制
- 教育体制
- 1日の訪問件数
- 利用者の特徴
6つのチェックポイントについて、それぞれ見ていきましょう。
①経営母体
訪問看護ステーションは、その経営母体によって特徴が異なります。
厚生労働省が実施した調査結果には、下記の記載があります。
訪問看護ステーションの開設主体は「営利法人」が 42.4%、「医療法人」が 27.5%であった。
営利法人とはいわゆる民間企業のことで、主に株式会社のことを指します。
近年では、この営利法人が運営する訪問看護ステーションが増加傾向です。
営利法人と医療法人の他には、社会福祉法人、医師会や看護協会、自治体などが挙げられますが、ここでは約7割を占めている「営利法人」と「医療法人」について簡単に説明します。
- 訪問件数などの実績が給与に反映されやすい
- 経営に興味のある人や独立を視野に入れている人におすすめ
- 病院や医師との連携が取りやすい
- グループ内の病院などに異動することも可能
このような特徴があるので、経営母体についてはあらかじめ確認しておくといいでしょう。
②休日
訪問看護ステーションは基本的に土日休みの場合が多いですが、多くは24時間365日対応できる体制を整えています。
土日祝日もオンコールの担当になったり、交代で出勤したりといったことがあるので、休日についてはよく確認しておきましょう。
③オンコールの体制
訪問看護の仕事は、夜間や休日などの緊急時に対応をする「オンコール」があるのが一般的です。
日本看護協会が行った実態調査によると、オンコール待機の状況は下記の通りです。
1か月間の夜勤や休日のオンコール待機の有無について尋ねたところ、回答者全体では「オンコール待機をした」割合は 68.4%となっている。
雇用形態別にみると、「オンコール待機をした」割合は「フルタイム勤務正職員」では 84.1%と8割を超えているが、「短時間勤務正職員」、「その他の職員」では半数以下と低くなっている。
【引用】公益社団法人 日本看護協会 医療政策部|2014年 訪問看護実態調査 報告書
雇用形態によっても異なりますが、月に何回くらいオンコール当番があるのか、オンコールの電話はどのくらいの頻度でかかってくるのかといったことは事前に確認しましょう。
④教育体制
経験年数が少ない、在宅看護が未経験という人には、教育体制は気になるポイントですよね。
訪問看護では、ある程度経験が豊富な看護師が求められる傾向にあります。
しかし、訪問看護の需要が高まっている近年では、経験の少ない看護師を積極的に採用しているところもあります。
未経験者向けの研修や教育プログラムの有無、入職後の先輩の同行訪問の期間などを確認しておきましょう。
⑤1日の訪問件数
一般的に、1日の訪問件数の平均は4~5件と言われています。
1件あたりにかける時間やスタッフの充実度などによっても変わってきますが、訪問件数をはじめ移動手段や移動時間などを把握しておくと、働き方がイメージしやすいです。
また、あわせて訪問エリアも確認しておくといいでしょう。
⑥利用者の特徴
訪問看護の仕事は、どのような利用者が多いのかによって大きく左右されます。
中には小児科や精神科などに特化した訪問看護ステーションもあり、利用者に応じた業務内容となります。
そのため、利用者の年齢層や多い疾患などは必ず確認しておきましょう。
訪問看護の需要は今後も高まっていく
高齢化社会の日本では、訪問看護の需要は今後ますます高まっていくでしょう。
訪問看護ステーションにはそれぞれ特色があるので、転職を検討する際には職場選びが重要となります。
今回ご紹介したポイントを確認し、自分に合った転職先を見つけてくださいね。