
看護師の資格を取得するためには大卒と専門卒2つのルートがあります。
看護師の資格を取得しているというのは同じなのですが、待遇やキャリアなどそれぞれに違いがあります。ここでは、大卒と専門卒それぞれの特徴についてご紹介します。
さらに、大卒になりたかったが専門卒で就職をしたという方もいらっしゃるかもしれません。
大卒になりたかったという方に今からでも間に合う、大卒資格の取得方法についてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
専門卒とはここが違う!大卒看護師の特徴

実は年々、大卒看護師は増加傾向にあります。
2021年の看護師国家試験で合格した大卒看護師の割合は全体の38.2%となります。
2016年では31.7%となるため、5年間で約6%も大卒看護師が増えたという計算になります。※1
年々人気が高まっている大卒看護師の特徴をご紹介していきます。
基本給が高い!
大卒看護師の基本給は、専門卒の看護師よりも高く設定されていることが多いです。
そのため、同じだけ働いていても専門卒看護師よりも大卒看護師の方がお給料はいいです。
ボーナスも基本給から計算されるので基本給が高い大卒看護師は、専門卒看護師よりもボーナスもよく、年収ベースで見てみると、大卒看護師の方が専門卒看護師よりも年収が高い傾向にあります。
またお給料だけでなく、大卒看護師に限り昇給条件をよくしているところもあります。
看護師として生活していくうえで、収入面などにおいてよい待遇を受けられるのが大卒看護師であるといえるのです。
保健師の資格も同時に取得できるのでキャリアが広がる
専門卒の場合は、専門学校に所定の年数通って課程を修了することで、看護師国家試験の受験資格を得られ、看護師国家試験が受けられます。
大卒の場合は、大学に所定の年数通って課程を修了することで看護師国家試験の受験資格だけでなく、保健師国家試験の受験資格も与えられます。
頑張って勉強し、保健師国家試験も合格すれば看護師だけでなく保健師としてのキャリアも形成できるのです。
例えば若いうちはバリバリ看護師として働いて知識や経験を積み、家庭を持ったあるいは身体がしんどくなったら保健師資格を活用して日勤のみのデスクワークに切り替えるなんていう働き方もできます。
大卒看護師は資格を活かしてどんどんキャリアを広げられるのが特徴です。
最初のキャリアは専門卒の看護師に越されることも多い…
看護師資格だけでなく保健師資格も所持してキャリアを形成できるのですが、最初のキャリアについては専門卒の看護師に先を越されてしまうことが多いです。
4年間かけてゆったりと看護について学んできた大卒看護師と比べて、3年間という短いスパンで同じだけのカリキュラムをこなしてきている専門卒看護師。それゆえに、特にベテラン世代の看護師からは即戦力と捉えられることが多いです。
また、大卒看護師は自分の学校に系列の医療機関を持っていることが多く、その系列の医療機関でのみ実習をしてきている傾向にあります。
一方、専門卒看護師は系列の医療機関を所有している学校が少ないのでさまざまな現場で実習を行っていることもあり、経験値が高い看護師も多いです。
そのため、新卒のときには専門卒看護師の方が期待されることが多く、最初のキャリアやキャリアアップについては少し先を越されてしまうかもしれません。
大卒よりも就職に有利?専門卒看護師の特徴

2021年の看護師国家試験で合格した専門卒卒看護師の割合は全体の42.2%となります。
2016年では43.8%となり、5年間で徐々に専門卒看護師は減ってきている傾向にあります。※1
とはいえ、まだまだ看護師の約半数の割合を占める専門卒看護師。
その特徴をご紹介していきます。
専門卒看護師の方が大卒看護師よりも就職しやすい!?
専門卒の看護師は、後述するように即戦力となることもあり就職してほしいと考える医療機関も多いのですが、なによりも専門卒看護師の方が就職しやすい理由はお給料にあります。
前述したように大卒看護師は専門卒看護師よりも基本給が高く設定されているので、医療機関側としては即戦力となるのにお給料も安くて済む専門卒看護師に就職してほしいと考えるところが多いようです。
そのため、専門卒看護師の方が自分の希望する医療機関からの採用を勝ち取りやすい傾向にあります。
即戦力として信頼されやすい
専門卒看護師は、大卒看護師よりも1年短い3年間で大卒看護師と同じだけの知識や技術をつけていきます。
さらに、学校によってはより即戦力を育てる目的でさまざまな現場で実習をさせてくれたり、さまざまな経験をさせてくれたりするところも増えています。
在学中に専門的な知識や技術だけでなく幅広い経験をしてきていることもあり、即戦力として期待してもらえる傾向にあるのです。
認定看護師や専門看護師の資格に先に挑戦できる
看護師のキャリアアップ資格ともいえる認定看護師や専門看護師。
この資格はそれぞれ実務経験が必要であり、なおかつ実務経験の年数も決まっています。
専門卒の看護師は同じ年齢の大卒看護師よりも1年早く現場で働いているため、認定看護師や専門看護師の資格に先に挑戦できます。
早めに認定看護師資格を取って看護師としてどんどん成長していけるのが、専門卒看護師なのです。
専門卒の看護師でも大卒になれる!?その方法は?

本当は大卒で看護師になりたかったけど、お金の問題や学力の問題などで専門卒で看護師になる道を選んだという方もいらっしゃるかもしれません。
大卒になりたかったという看護師の方は、実は今からでも大卒看護師にはなれるのです。
専門卒看護師が大卒看護師になるための方法は通信大学の活用です。
通信大学を活用する
近年通信系大学でも、看護に関する学科が増えてきています。
専門卒看護師は、すでに専門学校で所定のカリキュラムを学んできているため、大卒に必要なカリキュラムのみ履修することで看護学士の学位を取得でき、大卒と同様の身分となるのです。
ただし、所定のカリキュラムを修了するだけでなく、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に申請をして、レポートも提出する必要があります。
看護師は大卒・専門卒どちらでもメリットがある

看護師は大卒、専門卒どちらであってもメリットがあるため、どちらでなければならない、どちらかであればお得ということはありません。
自分がどのようにキャリアを積みたいのか、どんな看護師になりたいのかなど、理想とする看護師になれるように学校を選んでみてください。
専門卒だけど、大卒になりたかったという看護師は、ぜひ通信大学も活用してみてはいかがでしょうか。