
看護師として働いている中で、一度や二度は「辞めたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
多忙な業務、不規則な生活リズム、そして患者さんの命を預かる責任とプレッシャー。
体力的にも精神的にも負担が大きいですよね。
この記事を読むと、下記のことがわかります。
- 看護師が仕事を辞めたいと思う理由
- 看護師を辞めたくなったときの対処法
- 辞めたい理由を伝えるときのポイント
- 辞める前にしておくべきこと
辞めたいと思う理由は人それぞれですが、同じような悩みを抱えている看護師はたくさんいます。
「看護師を辞めたいのは自分だけではない」と思うだけで、少し気持ちが楽になるかもしれませんよ。
看護師が仕事を辞めたいと思う理由は?
退職を考えている看護師は、どのような理由で「辞めたい」と思うのでしょうか。
厚生労働省が実施した看護職員就業状況等実態調査によると、主な退職理由は下記の通りです。
- 結婚のため
- 出産・育児のため
- 他施設への興味
- 人間関係がよくない
- 超過勤務が多い
- 通勤が困難
- 休暇がとれない・とりづらい
- 夜勤の負担が大きい
- 責任の重さ・医療事故への不安
結婚や出産・育児など、ライフスタイルの変化によって辞めなくてはならないという場合もあるでしょう。
しかし、人間関係や超過勤務の多さ、休暇の問題、夜勤の負担、責任の重さといった理由も上位に挙がっています。
また同調査では、最後に退職した施設は病院(病棟)が58.9%と最も多く、次いで病院(外来・その他)が9.7%となっています。
このことからも、病棟勤務の負担の大きさが退職理由につながっていることがわかるのではないでしょうか。
看護師を辞めたくなったときの対処法

看護師を辞めたいと思っても、状況によってはすぐに行動に移せないこともありますよね。
そんなときは他に悩みを解決できる方法がないか、一度立ち止まって考えてみるといいでしょう。
休みをとってリフレッシュする
心身ともに疲弊している状態では、冷静な判断ができないこともあります。
一時の感情や勢いで辞めてしまうと、「やっぱり辞めなければよかった…」と後悔してしまう可能性も。
有給休暇があれば取得するなど、まずはしっかりと休息をとってリフレッシュした状態で、もう一度自分と向き合ってみましょう。
なぜ辞めたいのか理由を明確にする
辞めたいと思うのには、必ず理由があるはずです。
「夜勤がつらい」「人間関係に耐えられない」といった不満だけでなく、中には「看護師としてキャリアアップしたい!」という前向きな理由もあるでしょう。
思いつく理由を紙に書き出し、整理してみることをおすすめします。
思考を整理して客観視することで、自分が看護師として大切にしたいことや、今後のビジョンなどがより具体的に見えてくるでしょう。
働き方の変更を希望する
夜勤が負担になっている場合には、日勤常勤という働き方もあります。
結婚や子育てなどでプライベートを優先したい場合には、時短勤務やパートへの変更なども選択肢の一つとなるでしょう。
私は2人目の育児休暇から復帰する際に、同じ病棟で日勤常勤の時短勤務に変更してもらいました。
忙しいと定時を過ぎてしまうこともありましたが、時短勤務を考慮して業務を振ってもらえることが多かったです。
しかし、給料に関しては、夜勤ありの常勤と比較すると当然下がってしまうのでよく検討しましょう。
部署異動を希望する
辞めたい理由によっては、部署異動をすることで解決できるケースもあります。
たとえば、超過勤務が理由であれば比較的定時に終わる慢性期病棟、休暇が理由であれば外来や手術室など基本的に日曜日は休みとなる部署を検討してもいいでしょう。
同じ病院内であっても部署が変わるだけで環境が変わり、新鮮な気持ちで働けます。
私が以前働いていた病棟では、結婚を機に透析室に異動した同僚、親の介護を理由に外来へ異動した先輩がいました。
話を聞く限り、異動したことによって超過勤務や休暇の問題はある程度解消されたようです。
ただし、人員などの関係で必ずしも希望した部署に配属されないことや、新年度のタイミングまで異動できないといった可能性もあるでしょう。

例文付き!辞めたい理由を伝えるポイント

辞めたくなったときの対処法をお伝えしましたが、それでも「やっぱり辞めたい」となったら、その理由を職場に伝えなくてはなりません。
まずは直属の上司に伝えることになると思いますが、できることなら円満に退職したいですよね。
辞めたいと伝えるときのポイントは次の通りです。
- できるだけ前向きな理由を伝える
- やむを得ない理由の場合は具体的に伝える
- 嘘をつかない
一つずつ見ていきましょう。
できるだけ前向きな理由を伝える
様々な不満が少しずつ積み重なり、漠然と辞めたいと思っているようなケースもあると思います。
そういったときには、その中でもできるだけ前向きな理由を選ぶことによって、上司も引き留めにくくなるでしょう。
また、もしマイナスな理由しかなかったとしても、うまく言い換えることがポイントです。
例:超過勤務が多くて辞めたい場合
- 毎日忙しくて残業ばかりできついです。定時に帰ることができる職場に転職を考えています。
- 急性期でとても忙しくて大変なことも多かったですが、色々な症例を見ることができて本当に勉強になりました。その中で患者さんの退院後の生活に興味を持ち、訪問看護で働いてみたいと思うようになったので、転職を考えています。
やむを得ない理由の場合は具体的に伝える
体調不良や家庭の事情など、やむを得ない理由の場合は具体的に伝えることがポイントです。
自分ではどうすることもできないような状況であれば、そのことをきちんと説明します。
ぼんやりとした理由ではなく、言える範囲で事情を伝えたほうが理解が得られやすいでしょう。
例:通勤が困難で辞めたい場合
- 諸事情で引っ越します。今より遠くなるので退職させていただきたいです。
- 夫が転勤することになり、○月に○○県の○○市に引っ越すことになりました。新居からは電車を乗り継いで2時間程かかるので通うことが難しく、退職させていただきたいです。
嘘をつかない
円満に辞めたいからといって、嘘をつくのはよくありません。
事実と異なることは言わないほうが身のためです。
万が一嘘だと知られてしまった場合には、辞めることが決まっていたとしても居づらくなってしまいますよね。
後々トラブルに発展しないためにも注意しましょう。
辞める前にしておくべきことは?
辞めたい理由を整理してどのように伝えるか決めたら、今後のキャリアについて考えておくことをおすすめします。
今回辞めたいと思った理由が職場を変えることで解決するのであれば、違う病院に転職するのも一つです。
しかし、看護師の仕事自体に不満があったり、ストレスを抱えている場合には、病院以外の転職先も視野に入れる必要があるでしょう。
次はどのようなところでどのように働きたいのか、しっかり自分と向き合って考えることが大切です。
私も若い頃は急性期病棟でがむしゃらに働いていましたが、結婚や妊娠・出産などを経て、その都度キャリアについて考えてきました。
節目節目で「いま自分が何を大切にしたいのか」を考えることで、色々と見えてくるものもありますよ。
辞めたいという感情はマイナスに捉えられがちですが、決してそんなことはありません。
むしろ看護師としての今後のキャリアやライフプランを見直すきっかけにもなるでしょう。
ぜひこれを機に5年後や10年後のことを思い描き、将来の目標や理想のキャリアについて考えてみてくださいね。