看護師だけど夜勤がない職場を探したい、土日祝日に休める看護師の仕事を見つけたいとネットで検索していると、企業看護師という言葉を目にすること機会があると思います。
医療機関で働く看護師と比べて圧倒的に数が少なく、企業看護師とは一体どのような仕事をしているの?と疑問や興味を感じている人も多いですよね。
病院とは違う企業看護師の働き方に興味はありつつも、不安もある方もいるでしょう。
この記事では企業看護師に興味を持っている看護師に向けて、企業看護師の仕事の内容や年収、残業状況まで企業看護師の全容を大公開しています。
企業看護師とはどんな看護師?
企業看護師とは、医療機関や介護施設以外の一般企業で、看護師の資格を活かして働く看護師のことを指します。
企業の医務室で働く産業看護師がいちばんイメージがしやすい企業看護師でしょうか。
企業看護師と言うと、医務室で働く産業看護師のみを指して使われることも多いです。
しかし企業看護師とは医務室で働く看護師だけではなく、多岐にわたる職種があります。
新薬の開発に携わる治験コーディネーターや、医療機器の営業やデモンストレーションを行うフィールドナースといった職種も企業看護師に含まれます。
予想以上に企業看護師の仕事の幅は広くて驚く看護師も多いかもしれません。
産業看護師とはどのような仕事なのかを知ることで、自分の看護師としてのキャリアが広がる感覚を持つ人もいますよね。
看護師が資格を活かして働いていける現場は医療現場以外にも数多くあるのです。
企業看護師の業務内容は?
企業看護師の実際の業務はどのような内容でしょうか。
企業看護師の職種ごとに説明します。
産業看護師(企業の医務室で働く看護師)
企業看護師とは?と誰かに尋ねられたら、一番最初に浮かぶ職種が産業看護師という人は多いはず。
産業看護師とは企業の医務室で働く看護師で、従業員の健康管理を行っています。
従業員の健康診断の手配を行ったり、健康診断の結果から、必要な人には二次検査を勧めたり。
従業員に対して保健指導を行うのも業務のひとつです。
また希望する人や必要な人には、産業医の診察を受けられるように手配を行うこともあります。
学校の保健室の企業版と思えば、だいたいの業務内容のイメージがつくはず。
最近では、生活習慣病を未然に防ぐ予防医学の観点から、厚生労働省が特定健康診査等の実施に関する協力依頼を各企業に出したこともあり、産業看護師の活躍の場は広がってきています。
働く人のメンタルヘルスも、メディアで頻繁に取り上げられています。
産業看護師はメンタルケアが必要な従業員のケアや、産業医への受診を促すことも大事な仕事。
すでにうつで休職している人がスムーズに復職できるように、産業医や企業と従業員の間の橋渡しのサポートも行います。
心身両面から従業員の健康を支えているのが、企業の医務室で働く産業看護師です。
治験コーディネーター
企業看護師の職種には、新薬開発に携わる治験コーディネーターがあります。
治験コーディネーターは、製薬会社や治験コーディネーターを派遣する企業に所属します。
治験に携わる、医師をはじめとするメディカルワーカーと患者、そして製薬会社との間の橋渡しをし、治験が正確にスムーズに進むようにサポートをしていくのが役目。
治験に協力してもらう病院を選定し、契約をすることも治験コーディネーターの大事な仕事です。
具体的な業務内容としては、実際に治験に携わる医師やメディカルワーカーと勉強会を開催し、治験を行う薬剤に関する知識の共有を行います。
治験中には製薬会社の求めるプロトコル(基準の手順)通りに治験が進んでいるかのチェックや、治験に携わるメディカルワーカーの疑問に答えながら、治験がスムーズに進むようにサポートをしています。
治験対象の患者の選定も、治験コーディネーターの仕事。
治験前には選定された患者に治験の説明や副作用の説明を、そして治験中には副作用の有無や治験中の患者の疑問や不安に答えます。
薬に関する深い知識と、正確性、異業種をつなぐコミュニケーション力、また患者の異常を見逃さない的確な観察力が必要となる職種です。
フィールドナース(クリニカルコーディネーター)
企業看護師には、医療品を開発する企業で働くフィールドナースも含まれます。
自社が開発する医療機器を病院で導入してもらうための営業を行うのが仕事です。
導入してもらうために医療機器のデモンストレーションを行ったり、実際に導入される際には使用現場に立ち会って使用方法の説明、サポートを行います。
導入後は利用がスムーズに進んでいるかどうか、困ったことはないかなどアフタフォローをしながら、現場の意見を開発現場にフィードバックしていくのも大事な業務のひとつ。
看護師業務というより営業職となりますが、臨床経験を存分に生かせる現場です。
医療機関で働くメディカルワーカーの「困った」を解消する目線で営業を行えるのは、フィールドナースの強みです。
企業看護師の年収、勤務形態、残業はどのくらい?
企業看護師の勤務形態、年収、残業について説明します。
企業看護師の勤務形態は?
企業看護師は土日休み、夜勤なしであることが多いです。
この点が企業看護師の魅力のひとつ。
ただし治験コーディネーターの場合には、参加している治験によってシフト勤務であったり、土日のどちらかが出勤となることも。
また治験協力先の病院の都合によっては、フルフレックス制での勤務ということもあり得ます。
企業看護師の年収は?
企業看護師は夜勤がない分、年収が減るというイメージもあります。
しかし必ずしもそうとは言えません。
企業看護師の中でも治験コーディネーターやフィールドナースは高年収の傾向があります。
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、全看護師の平均年収は、498.6万円となっています。
対して治験コーディネーターやフィールドナースは、年収が600万円近い企業もあります。
特にフィールドナースの場合には営業の成功報酬が加算されることも多く、高年収も期待できる企業看護師です。
企業の医務室で働く産業看護師の平均年収は450~500万ほどとなっており、看護師の平均年収とほとんど差はありません。
企業看護師の残業はどれくらい?
企業の医務室勤務の産業看護師は残業は少なめ。
しかし治験コーディネーターやフィールドナースの場合には残業はやや多めで、月平均20~40時間という企業もあります。
ただしどの企業看護師でも、残業量は企業や職場による差は大きく、一概には言えません。
企業看護師は大学を卒業していないと無理?
企業看護師になるには、必ずしも大学を卒業していなくても大丈夫です。
企業看護師の中には大手企業の医務室の求人もあるので、大学卒でないとダメなのでは?と思われる方もいるでしょう。
しかし企業看護師の場合には学歴よりもスキルや仕事における考え方のマッチングのほうが重視されます。
一部の企業では大学卒やTOEICのスコアや臨床経験が必要な場合もあります。
しかし大学卒でなくても、新卒でも就職できる企業看護師の求人はたくさんあります。
企業看護師としての就職に、学歴は大きく影響しませんので大丈夫です。
企業看護師に就職は難しい?
企業看護師への就職は非常に狭き門である、と言えます。
令和2年の厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によれば、企業で働く企業看護師の割合は全看護師の0.7%と非常に少数となっています。
全国的に見て、企業看護師の求人数そのものも非常に少ないです。
企業看護師の土日休みで夜勤なしという勤務形態は、非常に魅力的ですよね。
特に産業看護師は特に人気が高く、募集人数1人のところに10人以上の応募があることも珍しくありません。
以上の点から、現時点では企業看護師への転職は非常に狭き門である、と言わざるを得ません。
しかし現在はメンタルヘルスへの関心の強まりや、特定保健指導の重要性が認知されてきたこともあり、大企業を中心に企業看護師の採用を強化しています。
次第に企業看護師の求人数も増えていくものと予想されます。
企業看護師の求人はどこで見つけるの?
企業看護師の求人は、企業の公式ホームページや転職サイトに掲載されています。
ただし、企業看護師の求人は数そのものが非常に少ないため、なかなか自分の力では見つけられないことも。
企業看護師への転職を目指すなら、転職エージェントへの登録もおすすめです。
転職エージェントでは転職サイトには公開していない、未公開求人も多数抱えています。
特に条件が良くて人気の企業看護師の求人は未公開であることも多いです。
転職エージェントでは、書類審査や面接を通過ための支援も手厚くサポートしています。
企業看護師、特に産業看護師の人気は高く、転職は非常に狭き門。
自分ひとりでの就職活動では、書類審査すら通らないことも。
ぜひ転職のプロである転職エージェントの力を借りて、企業看護師への転職を成功させましょう。
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企業看護師とは一般企業で働く看護師のこと
病院勤務と比べると企業看護師は人数が少なく、どんな仕事をしているのか外からではわかりにくい企業看護師の世界。
企業看護師の業務内容や職種、年収、残業まで詳しく紹介しました。
看護師は医療機関でしか働けない…、そんなことはありません。
看護職として企業で活躍している看護師もいます。
ぜひ企業看護師への道も検討してみてくださいね。