介護職は安定した業界ではあるけれど、賃金は安いしもっと収入を得たい、と思っている方は少なくないでしょう。
そこで今回は、今話題の「副業」についてご紹介。
副業の注意点から、介護職が始めやすい副業についてご紹介していきます。
介護職で副業を始めるための注意点
副業が解禁されたのは2018年
最近、副業が話題に上がるようになったのも、副業が実質解禁されたのが2018年であることが大きいです。
それまで厚生労働省は副業や兼業に対して否定的な立場であり、そのため基本的に副業は禁止されていました。
しかし「働き方改革」によって副業・兼業の普及を図る国の方向性を受け、2018年に副業や兼業の方向性を示す「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定・公表。
そこで企業が就業規則を作るための指針となる「モデル就業規則」も改正され、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」に変更され、実質的に副業・兼業が解禁されたと言えます。
参考 厚生労働省 モデル就業規則
副業ができるかどうかは会社次第
しかし、副業の解禁とは「副業できなかった」ことが「副業できる」ようになった、という意味であり、「全ての会社は副業を許可するべし」となったわけではありません。
そのため副業できるかどうかは会社判断に委ねられているのが現状です。
就業規則を改正し副業ができるよう変更した企業もあれば、従来の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」のままにしている企業もあり、それらを明記をしていない企業もあります。
よって副業可能かどうかは、就業規則や会社の総務部などに聞いて確かめる必要があるでしょう。
ちなみに、一般財団法人労務行政研究所が2021年4月に行った「副業・兼業への対応アンケート」によれば、「就業規則で副業・兼業を認めている」が35.4%、「就業規則で副業・兼業を禁止している」が49.3%でした。
もちろんこの「禁止している」企業の中には副業を許可申請制にしている企業もあるため一概には言えませんが、現状、副業・兼業の普及はまだまだと言うことができます。
参考 日本の人事部 副業・兼業の最新実態
就業規則違反にあたる場合も
副業が禁止されている会社、というのは就業規則で「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と明記されている会社です。
つまり副業を行う=就業規則に違反したということになりますので、懲戒処分となる可能性が高いと言えます。
懲戒処分、と聞くと退職を思い浮かべる人も多いかと思いますが、懲戒処分は7段階に分かれ、最も重たいものが懲戒解雇であり、軽いものであれば戒告(口頭の注意)で終わる場合もあります。
どの程度の懲戒処分になるのかは会社次第ですが、懲戒処分を受けることは当然、あなたのキャリアにとってプラスにはなりません。
またその会社で働き続けたいと思っているのであれば、就業規則はしっかり確認した上で、総務部などに副業の是非を確認することをオススメします。
許可されていても禁止事項はある
副業可の会社だったとしても、気をつけなくてはいけないことがあります。
前述したように、会社の就業規則の模範となっているのか、厚生労働省が提示している「モデル就業規則」です。
この就業規則の改正によって実質副業が解禁されたのですが、同時に会社に不利益が発生するような副業・兼業は制限できると書かれているのです。
第14章 副業・兼業
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
引用 厚生労働省 モデル就業規則
以上4つのどれかに当てはまるような副業は、副業可能な会社でも禁止や制限をされると思っておきましょう。
- 労務提供上の支障がある場合
これは簡単に言えば副業のせいで自社業務が疎かになることです。
副業はあくまで副業として、正社員業務に支障が出ない程度を心がけましょう。
- 企業秘密が漏洩する場合
これはその名の通り、正社員として働いている会社で得た情報を副業先の会社で漏洩してしまった場合です。
会社に勤める際、秘密保持義務を遵守する書類にサインしたかと思います。
主に利用者さんの情報などだと思いますが、それらを副業先で話してしまった場合は、この秘密保持義務に反する可能性が高いので注意しておきましょう。
- 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
これはいわゆる「信用失墜行為」を指します。
これは会社判断によるところも大きいのですが、副業先での事故などはこれに該当するでしょう。
- 競業により、企業の利益を害する場合
あまりピンとこないかもしれませんが、副業を始める上で一番意識しておくポイントといえます。
これはいわゆる「競業避止義務」と呼ばれるもので、労働者は今勤めている会社のノウハウや技術の流出を防ぐ義務があります。
つまり、同業種への副業は、例え副業が許可されていても難しいということです。
もちろん今まで述べたのは「モデル就業規則」での記載であり、これを会社がそのまま引用している会社もあれば、会社独自の書き方をしているところもあるでしょう。
そのため、どの程度までの副業が可能なのか、一度確かめることをオススメします。
介護職が始めやすい副業は?
ではここから、介護職が始めやすい副業をお伝えしていきます
前述したように、同業種への副業は推奨されていないので、それを踏まえた上で、特に今回は「始めやすさ」に着目。
主に以下の2つのポイントを抑えた副業をご紹介していきます。
・誰でも始めやすい
・介護職の自由な勤務形態を活かせる
ギグワーク
ギグワークとは、1度限りの演奏という意味のスラングである「Gig(ギグ)」と「Work(ワーク)」を組み合わせた造語で、いわゆる単発アルバイトのようなものです。
インターネットの普及により浸透しつつある働き方で、SNSなどで簡単に仕事を請け負い、出来高制で稼ぐことができる仕事です。
有名なものだとUberEatsを始めとしたフードデリバリーや、チラシのポスティングなどが上げられます。
履歴書不要で簡単に登録できるため、誰でも始めやすいほか、スキマ時間でさくっと稼げるのも魅力。
介護職の場合平日が休みの人も多いため、その時間を有効活用したい、という人にオススメの副業です。
シェアリングエコノミー
副業同様、最近注目されだしてきたビジネスモデルで、「個人が保有する遊休資産(車、土地、家など)の貸し出しするサービス」のことを指します。
有名なものだと自分の住んでいる家や所有している家を宿泊施設として貸し出す「airbnb」や、「カーシェアリング」なども有名ですね。
また車や家だけではなく、家事代行やペットシッターなど労力を提供するサービスも存在します。
不労所得に似たビジネスモデルですが、家事代行など、介護職ならではのコミュニケーションスキルが活かせるのもシェアリングエコノミーの魅力。
ただ、自身の所有している資産に損害を受けたときの保障がどうか、使用するマッチングサービスはきちんとチェックしましょう。
副業はまだまだ解禁されたばかりで普及していませんが、貴重な収入源になることも事実。
ぜひ今後のキャリアを見据えながら、上手くサービスを活用していただけたらと思います。